BLとは一味違う『ブロマンス映画』男同士の強い絆が描かれた作品4選
ブロマンスとは
ブロマンスとは、簡単に言うと恋愛や性的な関係以外での男性同士の結びつきを表す言葉で、『Brother』『Romance』を合わせた造語と言われています。
その定義はさまざまで、「(性的関係のない)男性同士の恋愛関係を表す」としている人もいれば、「四六時中一緒にいるような親友関係」や、「ライバルのような執着関係」であると定義している人もいます。
ブロマンス映画の名作4選
昨今では、タイのBLドラマ『2gether』が大ヒットしたり日本でもBL作品が映像化されてたびたび話題になっていますが、今回はBLではなく『男同士の強い絆(ブロマンス)』が感じられる作品を紹介していきたいと思います。
最強のふたり
概要
パラグライダーの事故により首から下が麻痺してしまうという大きな障害を負った大富豪の男性フィリップと、スラム育ちで黒人の介護人ドリスの友情を描いた作品。フランスであった実話がモチーフとなっています。
ドリスが介護人として選ばれるまでは、誰もが大富豪の障害者であるフィリップを“丁重に”扱ってきました。しかし腫れ物扱いされることに不満を感じていたフィリップは、失業保険の受給延長のため、“わざと面接に落ちるべく”やって来た青年ドリスを半ば強引に介護人として採用してしまいます。
介護経験もなく身体障害者の扱いもまるでなっていないドリスですが、障害者である自分に対し、時にはブラックジョークまでかましながら遠慮なく接してくるところに居心地の良さを覚えるフィリップ。二人は次第に【雇い主】と【介護人】という関係以上の友情を築いていくことになります。
筆者のオススメポイント
ドリスはスラム育ちで前科もあり、一般的な評価では「あまり見習うところがない人物」に思えますが、大富豪でさらに障害者でもあるフィリップに対して、他と分け隔てなく接する姿勢は感心すら覚えるものでした。
【大富豪】と【スラム育ちの青年】という一見交わることのない二人が出会って起こす化学反応。反発しあう時もありますが、お互いに良い影響を与え合っているのが見て取れるシーンや、本心で相手のことを大切に思っている姿がよく描かれていて、「ブロマンスとはこのこと!」と説明するのに最適な映画ではないかと思います。
2011年製作 フランス 113分
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演:フィリップ役(フランソワ・クリュゼ)、ドリス役(オマール・シー)他
ショーシャンクの空に
概要
劣悪な環境で有名なショーシャンク刑務所に収監された囚人の二人を中心に描いた作品。
殺人の冤罪で収監されてきた元銀行員のアンディは、刑務所内の暴力や不正が日常茶飯事の環境に馴染むことができず、侮られてトラブルに巻き込まれることも多い人物。一方、同じく終身刑により収監されているレッドは長年の刑務所生活の中で外部から物を入手してきては囚人に売り捌く【調達屋】として活動しており、囚人たちからは頼りにされているものの、たびたび仮釈放の審査を却下されるなどしていて、人生に希望を見いだせなくなっていました。
そんな人生諦めモードのレッドと、自らの冤罪を訴え希望を語り続けるアンディ。正反対に見える二人ですが、アンディがレッドに小型のロックハンマーを依頼したことをきっかけに、関わりを持つようになります。
筆者のオススメポイント
「不正がはびこる刑務所」という不条理な世界に身を置きながら希望を持ち続けるアンディの姿に、徐々に感化されていくレッドや周りの囚人達。143分という長編ながらずっと面白いストーリーや物語終盤の鮮やかな伏線回収、またアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされたモーガン・フリーマンの演技も秀逸です。
6月17日からは4Kリマスター版が劇場公開されるとのことで再び注目を集めている『ショーシャンクの空に』。ぜひ映画館でも体験してみてください。
1994年製作 アメリカ 143分
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーブン・キング
出演:アンディ役(ティム・ロビンス)、レッド役(モーガン・フリーマン) 他
英国王のスピーチ
概要
幼い頃から吃音症に悩まされていたイギリス王室のジョージ6世(アルバート王子・バーティ)と、その治療にあたった療法士ライオネル・ローグの実話をもとに描いた作品。
英国王ジョージ5世のもとに第二王子として生まれ、兄エドワードの影に隠れて生きてきたアルバート王子(愛称バーティ)は、ある日、父の代理として出席した大英帝国博覧会閉会式でのスピーチで、その吃音症により悲惨な失敗をしてしまいます。
これまでに何度も克服しようと努力をするものの、どんな医師にかかっても症状が改善されることがなかった吃音症を今度こそ改善すべく、妻であるエリザベスに連れられて訪れたのが、オーストラリア出身の言語聴覚士ライオネル・ローグのもとでした。
最初はローグの型破りな治療法に反発していたバーティですが、とある方法により録音された自分の声を聞いたことで活路を見出し、彼に習って呼吸や発声の訓練を行っていくようになります。
筆者のオススメポイント
英国の王子とオーストラリア移民の言語療法士というあまりにも立場の違う二人が出会い、交流をしていくことで、心を開いていったり再びぶつかってしまう様はまさにブロマンスの王道とも言える展開。それを乗り越えてどんな友情が育まれるのか?そしてどのような結末を迎えるのかが見ものの作品となっています。
2010年製作 イギリス・オーストラリア合作 118分
監督:トム・フーパー
脚本:デビッド・サイドラー
出演:バーティ役(コリン・ファース)、ローグ役(ジェフリー・ラッシュ) 他
21ジャンプストリート
概要
新人警察官で高校の同級生でもあるジェンコとシュミットの二人が、青年犯罪の捜査のために高校生としてとある学校に潜入し、事件解決に奮闘するというコメディ作品。
高校時代、スポーツマンで学園の人気者だったジェンコと、一方で冴えない学園生活を送っていたオタクのシュミット。あまりにもデコボコすぎる二人が偶然にも警察官として再会を果たすのですが、高校時代の確執もあってなかなか息も合わないし事もうまく運べないという始末。そんな二人がいかにしてバディとなっていくかが、コメディ満載でアクションシーンもありつつ派手に描かれています。
筆者のオススメポイント
映画『21ジャンプストリート』は、かつてジョニー・デップが主演をつとめ、彼の出世作にもなった同名のドラマをリメイクした作品で、その縁もあってジョニーデップがカメオ出演をしていることでも知られています。おバカだったりブラックユーモアを感じるシーンもたびたびあり、何も考えずに「あー面白かった!」と笑える映画を見たい時にピッタリです。
2012年製作 アメリカ 105分
監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー
脚本:マイケル・バコール
原作:スティーブン・キング
出演:シュミット役(ジョナ・ヒル)、ジェンコ役(チャニング・テイタム)、ジョニー・デップ※カメオ出演 他
腐女子未満の貴女に
「BLも悪くないけど、どっちかって言うと恋愛のドロドロ感よりも男同士の爽やかな親友関係を見守りたい!」という腐女子未満の方におすすめのブロマンス映画。一度触れたらきっと新しい世界が開ける珠玉の作品ばかりです。ぜひご覧になってみてください。