美容業界にも『サスティナブル』が拡大中!これからは“エシカルなコスメ”を選ぼう
美容業界に広がる『サスティナブル』
世界中で意識されるようになっているサスティナブルな取り組み。
『サスティナブル(Sustainable)』とは、本来「支持できる、持続できる、耐えうる」といった意味の言葉ですが、ここで言うサスティナブルとは、「地球環境、社会のシステムなどを、持続可能なものにしていく働きや取り組み」のことです。SDGsという言葉で聞いたことがある人も多いですよね。
エシカル商品・エシカル消費とは
サスティナブルと並んで、『エシカル(ethical)』という言葉を聞いたり見たりしたことがある人もいるかと思います。これは本来「倫理的な」という意味の英単語ですが、地球環境や社会に配慮された商品を選んで購入・消費する行動や、そのように配慮されて製造された製品自体を指す言葉です。「エシカル消費」や「エシカル商品」などという形で用いられています。
世の中のサスティナブルな仕組みをさらに拡大させるためには、消費者が意識してエシカル商品を選んでいくことが大切になってきます。では、具体的にどのような基準で選べば良いのでしょう。
パッケージや包装を簡素化している
パッケージや包装をシンプルにしたり最小化することで、包装にかかる原材料やCO2の削減が進められています。
レフィル販売
レフィル販売とは、化粧品やスキンケア製品の本体や中身だけを販売したり、詰替え用の簡易パッケージで販売することで、容器を再利用できるというものです。
容器に使用される原料プラスチックの削減やCO2の削減、ゴミを減らす目的などがあり、繰り返し使う=持続可能(サスティナブル)な取り組みとして日本でも以前から積極的に行われています。
シャンプーやボディソープなどの詰替え用販売やファンデーションのケース・レフィル別売りなどは既に一般的となっています。
簡易包装
ブランド商品などで多く行われていた過剰包装や梱包方法を見直し、必要最低限の梱包のみで商品を提供したり、必要な人にだけ別売りで袋を提供するなど、配送や持ち帰りの際の包装資材を減らす取り組みが広がっています。
容器素材の変更
化粧品の容器を使い捨てのプラスチック等から持続可能性のある紙や木製素材に変更したり、再生可能なガラス容器やリサイクルペットボトルを使用するなどの取り組みが行われています。
オーガニックコスメ
オーガニックコスメも、環境にやさしいという点でエシカルな側面をもつ商品と捉えることができます。
オーガニックコスメに使われている原材料は、化学物質による土壌汚染を防ぐことができる有機栽培(農薬や化学肥料を使わない栽培方法)によって生産されています。ただし日本ではまだコスメに対するオーガニック認証がきちんと確立しておらず、100%自然由来の成分を使っていない場合でもオーガニックコスメを謳っている場合があるので注意が必要です。
環境のことを考えてオーガニックコスメを選びたい場合は、商品のパッケージやHPなどで「100%自然由来」や「100%天然成分」と表示されているもの、海外ブランドのもので専門の機関でオーガニック認証を受けているものを選ぶようにしましょう。
自社栽培の原料を使用している
化粧品には植物由来成分が配合されているものがたくさんありますが、その原材料を自社農園や契約農園で栽培することで、環境に配慮した栽培環境を整えたり、安定的な雇用を確保しているブランドがあります。
オーガニックブランドをはじめ、自社農園での原材料の栽培は、ハイブランドのコスメでも行われています。
動物実験を行っていない
薬品などの効果や安全性を確かめるために、動物を使った実験を行う場合がありますが、倫理的観点などから「動物実験を廃止しよう」とする動きが広がっています。
化粧品についても、ヒトの皮膚組織を培養したものを使用して検証を行うなどの代替法に切り替えるなど、「動物実験を行っていない」商品や、「実験を行う際には動物に対して最大限配慮を行う」としている企業が製造した商品が増えています。
廃棄予定の原料を使っている
廃棄予定というと聞こえは悪いかもしれませんが、規格外などの理由で廃棄されていたものの価値を改めて見出し、化粧品の原材料や容器の材料として再生することで廃棄物を減らす取り組みが行われています。
倫理的な就業環境によって生産されている
商品には値段がついています。消費者としては良い商品が安く売られているとありがたいのですが、「安くて良い」を実現するために、どこか粗悪な環境で低い賃金で働かされている人がいるかもしれません。そういったことを防ぐためにも、「安い理由」に目を向けていくことが大切です。消費者の立場からは見えないことも多いかもしれませんが、できる限り「適正な価格」で販売されている商品を選ぶようにしましょう。
身近にあるサスティナブル・エシカルなコスメ
私達が普段何気なく手にしている商品にも、サスティナブルな取り組みが反映されているものがあります。一番身近なレフィル販売を行っている商品を具体的に紹介していきます。
ラブ・ライナー リキッドアイライナーM
落ちにくいアイライナーが大人気のラブライナーが、入れ替え可能なカートリッジ式にリニューアル。お気に入りのリユーザブルボトルに好きな色のカートリッジをセットして再利用できるほか、カートリッジ単体は本体込みの価格より220円安く購入することができるので、リピーター愛用者にも嬉しい変更になっています。
※現時点ではリユーザブルボトルのみの販売は行われていません。
またラブライナーでは、パッケージ素材をプラスチックからFSC認証を受けた紙に変更するなど、環境に配慮した製品づくりが行われています。
スック シアーマットリップスティック
スックのシアーマットリップスティックは、レフィルとキャップが別売りになっています(※レフィルには標準で樹脂製の簡易キャップがついています)。「家でしか使わないのでキャップがなくてもいい」という場合はこれまでに販売されてきた既存品よりも550円安く購入できるので、多色買いしたい人にも嬉しいかもしれませんね。
スックではこの他にも、ショッピングバッグの素材をFSC認証を受けた紙素材に変更したり、有料ギフトバッグを繰り返し使用可能なあずま袋モチーフの風呂敷(100%綿素材)に変更するなど、環境に配慮した取り組みも行っています。
コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアセラム
昨年、およそ30年ぶりにリニューアルされて話題になったコスメデコルテのNo.1美容液は、75mlサイズに付け替え用を採用。ポンプ部分を再利用することができ、付け替え用は中身の量は変わらず550円安く購入することができます。
ボトルの素材には植物性樹脂素材を採用し、環境にも配慮しています。
コスメデコルテではこの他にも「女性に対する暴力をなくす運動」に賛同した活動や、人種に関係なく多くの人が心地よく使用できる製品の開発を行うなど、SDGs達成のための様々な活動が行われています。
ランコム アプソリュ ソフトクリーム
高額ながら安定的な人気を誇るランコムのフェイスクリームは、本体をまるごと購入した場合とレフィルのみを購入した場合の価格が3,850円も違います。リピートする場合は絶対にレフィルを買って入れ替えた方がお得です。
ランコムでは容器リサイクル活動も行われています。人気No.1美容液ジェニフィックなど対象商品の空容器を回収実施店舗に持っていくと、サンクスギフト(ジェニフィック アドバンスト N (7mL))をいただくことができます。回収対象商品と店舗はこちらからご確認ください。
今回紹介した商品の他にも、実に多くの商品でレフィル販売が行われています。気に入った商品をリピート使用する場合は、できる限り詰替え用・付け替え用を選ぶようにすることがエシカル消費に繋がります。
ブランドごとのサスティナブル活動
企業が一丸となってサスティナブルな活動に取り組んでいるブランドも増えています。「エシカル消費はしたいけれど、具体的にどの商品を選んで良いかわからない」という場合は、HPなどを見てこういった活動に積極的な企業や、理念に共感できるブランドのアイテムを選ぶのもおすすめです。
『ディオール』 自社農園でバラを有機栽培
ディオールのフレグランスやスキンケア、コスメに使われている、ブランドを象徴するローズは、すべて自社農園(ディオールガーデン)で有機農法によって栽培されたものを使用しています。地元の土地を知り尽くした農家の方と長期的なパートナーシップを結ぶことで、高品質なバラをクリーンな環境下で栽培するとともに、安定的な雇用を生み出すことにも繋がっています。
ディオールではこの他に、化粧品の処方を見直して持続可能な成分処方に切り替えたり、容器にリサイクルガラスやリサイクルペットボトルを使用することで廃棄物の削減に取り組むなど、様々なサスティナブル活動も行っています。
『SHIRO』 エシカル割が全国に
SHIROでは、2020年から紙箱を省いたパッケージレスな商品に対し、通常販売価格から3%値引くという「エシカル割」というキャンペーンを行ってきました。これはSHIROオンラインストアと一部店舗のみで行われていた取り組みですが、消費者がパッケージレス製品を選ぶ割合が8割を超えたことをふまえ、これまでに行ってきたエシカル割を終了し、これからは必要な人にだけ製品サイズに応じたペーパーバッグやギフトボックスを別売りで提供するという取り組みを、全国の直営店舗でスタートしました(2022年4月22日より)。
SHIROではこの他にも、詰替え用レフィルでの商品展開、規格外とされて捨てられてしまうはずだった自然素材を優先的に使用するなど、サスティナブルを意識したさまざまな取り組みが進められています。
『ジュリーク』 有機栽培だけじゃなく自然との共存を徹底
ハンドクリームなどオーガニックコスメを展開する人気のスキンケアブランド・ジュリークは、自社で有機栽培を行った自然由来の成分を使用することはもちろん、雨水の利用やソーラー発電といった自然エネルギーの無理のない活用のほか、CO2削減につながる植樹活動や、農場近くに生息している野生動物の通り道を確保するなど、徹底して「自然との共存」に取り組んでいます。
また2016年以降は、工場や農園からの廃棄物すべてをリサイクル、またはエネルギーに転換して再利用することで、廃棄物ゼロを実現しています。
エシカル商品を意識して選ぼう
コスメやスキンケアなど美容業界にも広がっているサスティナブルな取り組み。
私達消費者が環境や社会に配慮した商品を選び続けるエシカル消費を続けていくことで、将来的にはその取り組みが当たり前のものになっているはずです。
消費者としても、パッケージが簡素化することで日常のゴミが減ったり、詰替え用を選ぶことでちょっと安く購入できたりと嬉しいことも多いので、ぜひ意識してエシカルな商品を選ぶようにしましょう。