【日常系】ちょっとした幸せを感じる小説
日常系の小説は胸に刺さる
SF小説やミステリー小説等、様々なジャンルの小説がありますが、今回は【日常系】【空気系】と言われる小説を3つか紹介していきます。
日常系は普段小説を読まない方でも、すっと世界観に入れるものが多いです。
そして、身近に感じる事が出来るからこそ胸に響く時があります。
代わり映えのしない毎日を輝かせてくれる、そんな小説たちです。
有川浩 阪急電車
阪急今津線を結ぶ片道8駅、往復16駅の停車駅を舞台に物語は進んでいきます。
各駅で章が分かれており、
その章ごとに中心人物、視点が変わるグランドホテル方式で描かれています。
別の章ではただの目撃人物だったのに、別の章では中心人物になっている。
そのニアミスな感じも面白い作品です。
物語の進み方が面白いのも魅力の一つですが、この小説はありえないのにありえそう、日常に潜んでいる非日常な部分を刺激してくれるのも魅力の一つです。
読み終わった後、電車に乗ってみると世界が違って見えるかもしれません。
吉本ばなな キッチン
1988年に発行され、今もなお多くの人の心を掴んでいる作品です。
大学生・桜井みかげが天涯孤独となり大切な人を無くした喪失感から、心の再生を描いた物語です。
大切な人、大切なモノを無くした主人公が前へ進む物語は多く存在していると思います。
しかし、この小説は読者である私の【自分自身】と言うものを見つけながら読むことのできる、他とは違う小説だと感じています。
寂しさや不安を抱えている人、大切な何かを無くした事がある人には是非とも読んでいただきたい作品です。
伊坂幸太郎 アイネクライネナハトムジーク
あまり深くは書けませんが、時系列が前後したりするので読むのが少し大変かもしれません。
しかし、その苦労をしてでも読み進めたいと思えるのがこの作品の素晴らしいところ。
出会いがテーマの恋愛物語ですが、普通の恋愛物語のようなどろどろした愛憎劇は無く、スッキリ喉ごしのよい仕上がりになっています。
台詞は一見すると余白があって軽さを感じるのだけど、その余白に様々な思いを込められるようになっていて、何度も読み返したくなります。
ささやかな日常の中に描かれたこの世界の真理を見つめられて、現実にある幸せに気付かせてくれる作品だと私を思いました。
以上、筆者お勧めの日常系小説3選です。
どれも読みやすい仕上がりですので、毎日が退屈だなと感じる方、小説にエネルギーをあまり使いたくない方には持ってこいの作品だと思います。